初めに
今回は日本乗員組合連絡会議(以下、日乗連)という日本の乗員組合の上位組織のWEBサイトで公開しているニュースを軽く取り上げます。
操縦席のパイロット無しで運航する航空機の研究が世界各地で始まっています。
今後パイロットを目指す人にも気になるニュースだと思うので、今回取り上げてみました。
※このHPの「公開文書」→「technical information」等はいい記事があるのでネバギバも定期的に閲覧させてもらってます。
エアバスなどのメーカーがパイロットを「二人」から「一人」、または地上からの遠隔操縦に完全に切り替える事も将来的には構想している動きに対応した声明?的意味合いのニュースです。
自分達の職場が侵されるわけですから、賛成なワケありませんよね。
そんな辺りも考慮に入れて読むと楽しいかも、、 ↓↓は日乗連のHPの記事を切り貼りしました。
旅客機の操縦士を減じた運航について
エアバス、地場航空学校と無人機操縦で提携
欧州航空機大手エアバスは、インドの航空訓練学校フライテック・アビエーション・アカデミーと、遠隔操縦航空機システム(RPAS)分野での提携に向けて覚書を締結した。PTI通信が4日に伝えた。 エアバスとフライテックは、無人航空機(UAV)の操縦士養成事業などの展開
今後の技術革新のゆくえは?
民間旅客機の技術の多くは軍事技術から来ます。
今は軍事用ドローンの研究が花盛りです。アメリカもその他の軍事大国もドローン技術で先を競っています。
昔旅客機には航空機関士が必要でしたナビゲーションを担当する操縦しないパイロットです。
でも今はFMSがその役割に取って変わっています。全く不自由はありませんし、狭い操縦席にもう一人暑苦しいオッサンいるかと思うとゾッとします。(笑)
ボーイングやエアバスの飛行機をお客さんを乗せて、一人のパイロットで運航する事は法律的に認められません。
しかし、数人しかお客が乗れない小さい飛行機の離島便などは、日本を含む世界各国で一人のパイロットによる運航がされています。
そうしないと人件費が高くついて仕方がないですよね。
電車では「ゆりかもめ」など無人運航は既に一般的になってます。
自動車も自動運転の開発競争中です。
遠隔技術も「遠隔医療」などを中心に進んでいます。
航空機も自動着陸の機能は既にありますが、自動離陸の機能も研究が進んでいます。
そのうち小型ドローンがエアタクシーとして無人運転で街中を飛び始めるでしょう。
旅客機はいつまでも永遠に2人以上の運航であり続けるでしょうか?
「一人のパイロットの体調が急変しても、もう一人いるから安心」が二人乗ってる意義ですが、
「誰も操縦席にいなくても運航できるけど、念のため一人操縦士乗ってて」には、結構早い段階でなると思いますよね?
だって今でもボーイングなどの旅客機ですら、やろうと思えば全ての操作を一人でできるんです。
じゃないと一人の操縦士が体調不良で不能状態になった時に無事に着陸できませんよね?!
パイロットの仕事は?
日乗連の方は世界のパイロットが、パイロットの人数が減る技術革新に短期的には反対でしょう。
ネバギバもある日突然「仕事ないよ!」とか言われたくないです。
でもそういう気持ちとは全く関係なく、技術革新や企業のコスト削減策は進みます。
それが資本主義の一番良い部分です。
それによって誰もがより安く移動できる世界が近付きます。
遠隔操縦になると遠い国まで行かずに、いつも家族と生活できる、毎日家に帰れる、そもそもテレワーク的に家から遠隔操縦勤務ができるかもしれません。
となると、毎年二回の身体検査もなくなるじゃん サイコー!????
地上からの遠隔操縦は初期はパイロットがモニターするでしょう。
そのうち遠隔操縦専用のパイロット職ができるかもしれません。
その後完全コンピューターがやる様になります。
操縦自体がコンピューター化が進み、簡単になれば、例えば客室乗務員全員に操縦訓練を短期間に受けてもらって操縦席は無人でOKもあり得ます。
そんなワケで、近い将来に操縦席の「一人化」、遠い将来に操縦席の「無人化」が起こります。いつかは誰もわかりません。
パイロットを目指す学生さんには遠い未来過ぎて関係ないと思うかもしれませんが、少し頭の片隅においていて損はないと思います。
パイロットの技能がゴミになり、英語でのコミュニケーション能力もAIの発達でゴミになったらどうしますか?
そうなる頃には他の仕事もかなりの確率でゴミになってますよね(笑)
ちょっと怖いですが、そうなる頃には新しい楽しい事が色々できる様に世界が変わっているでしょうし、それに関係する仕事も新たにできるでしょうし、、、、
とにかく新しい事に新鮮に取り組める人間がいつの時代も必要にされるんじゃないかなぁ??と思っています。
2021年6月17日の記事を追加します
Cathay Pacific working with Airbus on single-pilot system for long-haul flights
オマケ:controlled restについて
【controlled rest】という操縦室内での仮眠を認めるルールを定めている方式を導入している会社もあります。
※カンタスなどで導入されていると思います。その流れでグループ会社的なジェットスタージャパンでもルールとして(日本の航空局にも)認められています。
『操縦席を長時間一人にはできない、一般的な旅客機は一人運航は認められていない』
だからといって、中距離便に3人目のパイロットを手当すると人件費がかかる。
しかし、7~8時間も【トイレに行く以外ず~と、どちらのパイロットも疲れず、仮眠もせず】が実際上可能なのか?
という当たり前の疑問がある。
万が一可能だとしても、仮眠を建前上禁止して、疲れた状態で進入→着陸するより、タスクの少ない巡航中に【二人のうち、一人が仮眠しても良い条件を明示した上で、一人が操縦席でシートをリクライニングなどして仮眠をとることを会社として認める】方がより安全な運航ができるという考え方に基づいて導入されたのが、【Controlled rest】です。
※【仮眠時間の長さ】や【仮眠中は一定時間毎にCAさんがコクピットに連絡して起きている事を確認する】等々のルールが決められています。
この方法であれば、万が一緊急事態が発生した時も【仮眠中のパイロット】を【起きているパイロット】がすぐ叩き起こせば、寝ぼけてはいるものの、それ程大きな問題は起きなさそうです。
それよりも何よりも、【Controlled rest】のルールが無い航空会社では、『仮眠=社内規定違反=航空法違反』であると言えちゃいます。
そして、ほとんどの航空会社で中距離便や深夜便では、コクピットで話し合って交互に仮眠をしている場合も結構あります。
安全とルールを厳しく守る事をずっと教育されて育ってきたパイロットの仕事現場に、普通に考えると常時守る事が難しいルールがある事は余り良く無い状態だと僕は思います。
逆に中距離便、深夜便でそれをやらないと疲れで安全度合いが低くなると僕は感じます。
こんな建前みたいなルールは全ての航空会社で、出来るだけ早く改善される方が良いと僕は思います。
①パイロットは会社が定めたルールに則って、(必要な場合は)仮眠を交互にとって、頭がスッキリした状態で着陸に臨む会社
②パイロットは会社に定められていないが、(コレは必要悪だからと言って)勝手にルールを破って(必要な場合は)仮眠を交互にとって、頭がスッキリした状態で着陸に臨んでいる会社
③パイロットは疲れを感じても、コクピットでの仮眠は禁じられているので、眠気を我慢しながら数時間飛び続けてフラフラの状態で着陸に臨んでいる会社
④パイロットは疲れを感じても、コクピットでの仮眠は禁じられているので、操縦席では『仮眠させてほしい』と言い出せない雰囲気があり、しょうがないのでトイレに行くと告げて操縦室から出てトイレで15分のタイマーをかけて便座で仮眠して、出来るだけ頭がスッキリした状態で着陸に臨んでいる会社
無限に例は出てきそうですが、僕は今の所①が一番理想だと思います。
※確認してませんが、JALさんもANAさんも【Controlled rest】は導入してなかった様な気がします。
鉄道も配置転換始まってまーす
AI時代に無くなる職業は?
弁護士や医者も将来的には、概ねAIが置き換われる仕事だと言われている。
しかし、看護師は【ケア】する職業であるので、置き換えは比較的に難しいと言われている。
パイロットはどうだろうか?
今後【ケア】が医者やパイロットに求められる資質としてクローズアップされるかもしれない。
生き残れるパイロットでいたい、生き残れる人間でいたい。
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