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自衛隊パイロットはもう民間航空会社へ転職できないのか?【割愛の実態】

自衛隊・防衛大学校

自衛隊パイロットはもう民間航空会社へ転職できないのか?【割愛の実態】

最近、防衛大学校の記事を書く為にインタビューさせてもらっている時に、今は自衛隊でパイロットの仕事をしている人は民間に履歴書を出しても採用される事は決して無いとの噂を聞きました。
更にまた、自衛隊でパイロット以外の仕事をされている方からも、今は自衛隊のパイロットは民間に行けなくなったと聞きました。

昔はどうだったか?

10〜30年前のどこかの期間は【割愛】と云って、毎年一定数の自衛隊パイロットを民間に公式に放出?提供?する制度があったと思います。

自衛隊からのお墨付きを貰った状態で堂々と民間へと転職できる制度です。
この場合は自衛隊を退職してスグに民間で働き始めることができます。

更に【割愛】の枠に入れなかった人で民間への転職を希望する人は、自衛隊を退職後、二年間のインターバル・冷却期間を取れば民間航空会社も採用できる!という防衛省と国交相の裏の取り決めが有ったように思います。

自衛隊では民間で使える計器飛行証明を所持していない場合が普通ですから、自衛隊退職後に一年はかからないまでも数ヶ月、訓練費も数百万かけて民間への転職に必要なライセンスを揃えて、二年経つのを待って民間航空会社へ応募する時代があったと思います。

関連記事:自費パイロット国内訓練校/新日本航空の【実態】訓練生口コミと最近の事故例

パイロットが一斉にドッと抜けたら、そりゃ~自衛隊も絶対に困る

自衛隊のパイロットといっても、戦闘機から輸送機から哨戒機、、、色々あります。それらのタイプの違う飛行機のパイロットが、自衛隊の業務に影響が出ない様に、都合良くバランス良く、満遍なく少しづつ退職するなら、それほど問題は無いかも知れません。
(内部事情は全然わからないので適当なこと書きますが、、)

しかし、極端な話として、もし自衛隊の戦闘機パイロットが一斉に退職したら絶対に自衛隊は困ります。
自衛隊だけじゃ無くて、一気に日本という国の存亡の危機に繋がります。
日本の戦闘機が出撃出来ないと分かれば、スグに中国とロシアの飛行機が我がもの顔でブンブンそこら辺を飛び回ります。

普通の会社であっても、社員が一斉に辞めたら業務に支障が出ますが、自衛隊の場合は普通の会社とは比べ物にならない位のインパクトがある事は誰でも理解出来ると思います。

【割愛】という超特殊な転籍制度や2年間の縛りも致し方ないのかも、、、と考えられない事もありません。

でも、全ての日本国民には「職業選択の自由」が憲法によってガッツリ保証されるべき!

先ほど挙げた【割愛】は選ばれし数名のみが不平等に民間に転職できる制度・慣習であり、何処からもケチが付かない様な仕組みでは決してありません。

【割愛枠】に入れなかった人が二年待たなければイケナイ合理的な理由も見つけられません。
※自衛隊から見て、民間航空会社は別に敵対会社では無いですし、自衛隊から退職するパイロットが持ち出して民間航空会社に移植されると困る極秘ノウハウも特に無いハズです。

【割愛】って今もあるの?改めて調べてみると、、

ありました。

復活していました。

防衛省によるチャンとした【割愛】の説明を読んでください。

<解説>自衛隊操縦士の割愛 ※平成26年度版防衛白書より

自衛隊操縦士の割愛は、最前線で活躍する若手の操縦士が民間航空会社などへ無秩序に流出することを防止するとともに、一定年齢以上の操縦士を民間航空会社などで活用する制度である。

自衛隊においては、操縦士の適正な年齢構成を確保するとともに、航空部隊の精強性を維持するため、62(昭和37)年より本制度を開始し、これまで戦闘機や輸送機などの操縦士約750人が民間航空会社などで活躍してきている。

国土交通省によると、アジア太平洋地域では航空需要の拡大などの影響により、30(平成42)年には現在の約4.5倍の操縦士が必要になり、年間約9,000人の操縦士が不足すると見込まれている。自衛隊操縦士は、民間航空会社、特に新規航空会社などにおいて即戦力としてのニーズが高いことから、自衛隊の任務遂行に支障を生じない範囲で、一定年齢以上の自衛隊操縦士を活用することは、わが国の航空業界などの発展という観点からも意義がある。

防衛省は、これまで割愛が担ってきた重要な役割にかんがみ、公務の中立性・公正性をより確保することに留意しつつ、14(平成26)年3月14日、割愛の再開を公表した。
また、部隊運用を支えるため、割愛により再就職する操縦士を予備自衛官として任用することを推進する。

防衛白書トップ > コラム > <解説>自衛隊操縦士の割愛(かつあい)

令和2年度防衛大臣記者会見より

令和2年度防衛大臣記者会見

日時:令和2年3月27日(金)15:53~16:20

場所:防衛記者会会見室

備考:河野防衛大臣閣議後会見

三つ目ですが、3月24日の会見で、「海自ヘリコプターの訓練生について、全員が辞めてしまって民間に行った、また、空自も初等訓練の学生のうちに女性の隊員が非常に多く辞めてしまった」とお尋ねがありましたが、空自については、女性は一人も辞めておりません。また、海自においても「全員が辞めてしまって民間に行ってしまった」ということはありません。
他方、民間における航空機パイロットの需要の増加を踏まえまして、自衛隊を中途退職する原則40歳以上のパイロットを計画的に航空会社等に再就職させる、いわゆる「割愛」を実施しております。

また、50代半ばで定年退職するパイロットの航空会社における一層の活用を促進するため、国交省と調整の上、国交省において、2020年度から、自衛隊での飛行経験が豊富なパイロットを対象に、民間航空機の操縦に必要な国家資格の取得の負担を軽減するということでございます。

結局【割愛】は良いのか?悪いのか?

【割愛】が生まれた理由・復活して継続している理由はなんでしょう?

『本当なら自衛隊の貴重な戦力を民間に一人も譲りたくない!しかし、それでは不満が溜まるだろうからガス抜きとして毎年一定人数が民間に行ける仕組みを作っておこう!』

が根本にあるコンセプトです。

ですから
『今年は何となく民間転出希望者が多そうだから、【割愛】の枠も増やそうか!』
などとは絶対にならないワケです。

逆に自衛隊最上層部の本音は
『枠はできるだけ絞りたい!可能であればドサクサに紛れて廃止したい』
だと思います。

といった性質を考えると
【割愛】はあっても良いけど、それだけが自衛隊パイロットが民間に転出できる方法である状態は避けるべきだと思います。

そして今【二年間冷却方式転出】が危機に瀕している

以前は
『二年間我慢すれば、民間航空会社に就職活動が出来るし、認められれば採用もされる。』
という、若干理不尽に長い期間ではあっても、【暗黙のルール】があることでリスクを取って再就職の当ても無い状態で自衛隊を退職する人も結構いたと思います。

そして、記事の冒頭から書いている様に自衛隊関係者の間で、
『二年間我慢しても、防衛省と国土交通省の間の【暗黒のルール】により、今後は自衛隊パイロットが民間航空会社に再就職する事は不可能になったのではないか?』という噂が広がり始めている事です。
※そして、この記事でも実態不明な【暗黒のルール】に関する噂を広めてしまっているのですが、、、

更にライセンスも改悪方向との噂も、、、

↑の防衛大臣の会見では

民間航空機の操縦に必要な国家資格の取得の負担を軽減、、、』という発言がありましたが、実際には逆に今まで民間で使えた資格も自衛隊内だけの資格に変える方向に進んでいると話(噂)も聞きました。

そもそも、一人も自衛隊から転出しないことが理想形でも無いハズ

各省庁の官僚でも同期の中で出世していく一握りの人が、事務次官とかとかの組織のピラミッドの頂点に上り詰める一方、その他の人は民間に出ていったりします。

自衛隊も同じ公務員ですし、自衛隊にいるパイロット全員が【幹部】であるので、全員が定年まで残っても少しピラミッドの上の方が重くなりそうです。

長期的視点で見た【職業選択の自由】は守られるべき!

民間企業である航空会社の辞め方に関しては、以前
航空会社の正しい辞め方 管理職3人による密室監禁説教3時間を避ける方法!
に簡単に書きました。

日本にある全ての会社は、例外なく2週間程度で退職できなければなりません。

しかし、自衛隊は先ほども述べた様に【国防】が絡むので、2週間が3週間、3週間が4週間、4週間が5週間、、、、と退職する側にも多少の我慢が求められる状況も有り得るとは思います。

超短期的に【職業選択の自由】が凹むことは、許容されてもイイのかなぁ~と少しだけ思います。

しかし、長期的に【職業選択の自由】が自衛隊内の仕組みによって凹まされることがあってはならない様に感じます。

僕が考える『自衛隊パイロットの民間転出をベストな比率で調整する仕組み』は?

① 【二年間冷却方式転出】 は【一年間冷却方式】位に短くする。
  ※冷却期間を無しにしても良いが、冷却期間ゼロの【割愛】の枠を調節弁として少しでも機能させる為に冷却期間は少し残す。

② パイロットの退職者が増えだしたら、スグに給料以外の手当を大幅増額して、いわば市場の原理で流出を止める。
※この②が一番大事
(自衛隊パイロットの人数はたかが知れている。どこの民間会社よりも国はお金持ちなハズ、ケチなこと言わない!)
※逆に不景気で民間の採用が細りそうな時は、手当をコッソリ減らす。そんな時は民間の給料も減る可能性も高いので、手当を減らすことへの反感はそれ程買わないかも、、、、、(知らんけど、、)

関連記事:台湾の軍隊出身エアラインパイロット事情 日本人P志望者に愛の手を!

③ 退職者が増えだしたら、②と同時に【割愛枠】の人数を増やして、『もう少し自衛隊に残って、【割愛】が使える時期まで待って、少しでもリスクを減らして民間へ転出しよう』と考える人を増やす。

この案のメリットは?

A:主に②によって、自衛隊パイロットの方々の人生の選択肢を仕組みで無理矢理縛るのではなく、あくまでも自由な判断に任せる方法になっている。

B:民間へ来る自衛隊パイロットの平均年齢が下がる。
 ※【割愛】のみだと40歳を超える。若干遅いかもね、、と感じる。

C:アメリカと比べて、日本は航大・私大・自社養成がほとんどでジェネアビ出身者の様な経験者としてエアラインでキャリアを始める人の比率が低いが、自衛隊パイロットという経験者が一定数混ざることで乗員ソースの分厚さが増す。

D:自社養成に採用される英語力が無い、航大に行く学力が無い、私大に行く金が無い、でもどうしてもパイロットのライセンスを手に入れて、将来的にはエアラインパイロットまで辿り着きたいという少数だけど根強くいる層へのエールになる。

E:防衛白書にも書かれていたように『 割愛により再就職する操縦士を予備自衛官として任用することを推進』できる。※頑張って闘っているウクライナ軍兵士にも予備軍人が結構多いらしい。

雑感からの【まとめ】

僕はこれまで出会った自衛隊出身パイロットは、国が他国から攻められずに平和な状態を続けることの難しさ・厳しさを知っていると同時に、日本という国への愛を感じる人達でした。
それらは自衛隊内での教育に負う所が大きいとは思いますが、それこそが戦後の日本の義務教育から意図的に削除されてきた部分だとも思います。
何も考えずに生きてきて僕が、彼らと話をしていると『へ~そうなんですか?!』と気付かされることが多い、そして最近は『やっぱ、そうっすよね!』と感じることが多い。

他国の様に軍が国民から最大限に尊敬される組織であるとは到底言い難い環境下で、更に徴兵制なども無い日本は、自衛隊とその他の世界の隔絶感が強い世界だと思います。
そんな日本で若い世代の元自衛隊パイロットが、民間航空会社に(仕組みによって縛られることなく、自由な意思に基づいて)ドンドン来てくれることは『百利あって一害無し(笑)』に思えます。

更に、全ての自衛隊パイロットに計器飛行証明まで取得させてあげてもイイと思う!

今までは事業用は取得させて貰えるけど、計器は自費で退職後に取得するのが普通でした。

しかし、これも全部あげちゃいまっしょう(笑)

『家族の関係で、どうしても転勤が厳しくなってきて、、、、そこで計器まであるし、民間に転出する事にしました~』
くらいのノリで移動できる状況・時代が来るといいのかもなぁ~と思います。

『えっ自衛隊パイロットに甘すぎる? でもね、航空学生とか防衛大学校とか幹部候補生学校とかから自衛隊でパイロットになっていくのに何年かかると思ってるの?僕も良く知らんけど、1年とか2年じゃないよね? 平気で5年、10年過ぎるよ!その間、結構制限された生活を続けて来た人達に国からそれ位のプレゼントがあっても全然イイと思うけどなぁ~』

という事で、自衛隊から民間への転職事情は、現状厳しく暗い感じですが、明るい感じになって欲しいなぁ~という強い願望で記事を終わりたいと思います。

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