なぜ私大の就職率は不景気時に航大より劣ってしまうのか?【組織編】

航大 自費 私大航空学科

なぜ私大の就職率は不景気時に航大より劣ってしまうのか?【組織編】

今回の記事は↓↓の記事の続編として書きました。
この記事の前に読んでみてくださいね。 
航空大学校・私大操縦学科の就職状況 噂の花園

航大の就職が強い理由は?

航大は歴史がある』『訓練体制が整っている』『学費が安いので多くの学生が受験し、倍率が高くなるので、自然と優秀な学生が集まる』『先輩・後輩の繋がりから卒業生の質も高い』などの理由を色んな所から噂で入ってくると思います。

ネバギバが考える最大の理由は?

僕は実際に私大の卒業生と航大の卒業生を比べた事がありませんし、もし上記の様な理由で航大の方がレベルが高かったとしても不景気な時にも他の私大に比べて航大の就職率が良いのは、『管轄官庁はどこか?』が一番大きく響いていると思います。

国土交通省は航空会社の管轄官庁でもあり、路線配分や着陸料などの公租公課などの航空会社の経営に直結する巨大な権限を握っています。
基本的に会社側は国交省に逆らえませんし、国と会社は公租公課を通して莫大な金額をやり取りしています。

さて、不景気で航空会社の採用が萎むと誰が一番困る?

航大は実質的に国土交通省の管轄です。私大は文部科学省です。

航大私大も困ります。
私大の方は民間の会社に近いですから就職率が落ちると経営にスグに響きます。
※上手く隠せなければ(笑)
学生が来なくなるからです。
ですから、どちらが困るかと言えば私大の方が困るワケです。

困った時に私大ができる事?航大ができる事?

航大私大から航空会社に『不景気なのは承知しているが、うちの学生を一人でも多く採用してほしい』と直接、間接、あるいは無言のお願いがあるでしょう。
例えば桜美林の教授陣はほぼJALですから、そういった所からJAL本体の知り合いにお願いが行きます。

JAL内部の人にとっても桜美林大学は自分達の『天下り先』的な大事な組織です。


しかし本当に厳しい状態になった時に、私大にはひたすらお願いしかできないのに対して、航大は国土交通省と通して有形・無形の圧力をかける事が可能です。 
監督官庁ですから、なんだかんだ理由を付けて航大生の採用に積極的でない会社の路線配分を不利にしたり、着陸料減免のルールを外見は公平だけど、よくよく考えると一定の勢力に不利な条件にしたりと『手』は沢山過ぎるくらいにあります。

監督官庁はほぼ無敵!

今回武漢ウイルスでJALANAも吹けば飛ぶような経営状態です。
政府の一部には合併案もチラつかせて航空会社に圧力をかけている位の状態です。
いやらしい見方をすれば『俺らにはお前らを合併させてしまうだけの権限とそれを可能にする状況もあるんだぞ、それをされたくない会社がいれば、そうならない為に国交省や政党・政治家に何か対価を寄こせ!約束しろ!』と言っていると捉えても全くおかしくありません。
不景気は官僚組織が勢力を伸ばす又とない絶好のチャンスなのです。
特に日本は元来官僚組織が他国に比べて強いと言われている国です。

2022年8月追加分 海上保安庁新長官に官僚出身の石井氏が就任!

官僚にあまめ?超甘い?と噂されている岸田総理の元、国土交通省の下にある海上保安庁のトップが9年ぶりに官僚出身者になりました。

ちなみに自衛隊の実質的なトップは(※肩書的なトップは総理大臣ですが、、)
自衛官の階級

陸上自衛隊⇒陸上幕僚長
海上自衛隊⇒海上幕僚長
航空自衛隊⇒航空幕僚長
といずれも当然の様に現場の人です。

なので、自衛隊とシームレスに連携できなければイケない組織である海上保安庁の長官も当然現場の人がなるべき???と考える人が多いと思われますが、こんな感じで官僚さんが現場の人っぽい仰々しい制服きて長官になってるワケです。 とにかくそんなこんなで日本の官僚は強いのです(笑)

そんな状態で僕がANA側ならこう考える

航大卒業生は、自社に関係のある東海大卒業生よりも圧倒的に丁寧に扱え、JALよりも常に採用数で上回る状態を続けろ、今はコチラの方が規模がデカい会社だから普通にやればソレはできるし、JALは関連の私大を多く抱えすぎているからソッチとの兼ね合いで航大生を大量に取れる状態にはなりにくいハズだ。今の状態を続けろ!』

反対に僕がJAL側ならこう考える

『今までJALの息がかかった私大をANAよりも多く作る事には成功した。コレで我らの就職先が増えた!ANAより上手くやった!ここ数年ANA側が航大生を多めに採っているから航大生の就職率はほぼ100%で推移している。航大は所詮公的機関だから100%で推移しているうちはJALに対して文句は言われないハズだ。
JALは世間に対するイメージとして『ANAと違って健全経営をしていたので、コロナによる影響は軽微』で通す戦略を採っている。
だから自社養成も継続している。公称80名とか言っといて実際の採用数がそれよりも極端に少なくてもほぼ世の中は感知しないだろうし、、、、
ただ、そういった『無傷的戦略』をとっているだけに、ANAが更に採用を削って航大生まで溢れ出した時には航大からも『無傷なら採用しろよ的な圧力』があるかも知れない。
その辺りをシッカリ見ておけ、幸いANAは直近では関連の東海大の卒業生を採らずに航大優先を貫いている。
自民・公明と良い関係を築けているANAであるから当然JALよりも国交省側への目配せが欠かせない状態なんだろうなぁ~。
今の状態でANAを押し分けて政権に擦り寄ることは難しい。
野党が政権獲ってくれれば棚ボタ的に優位に立てるだろうけど、前回の民主党政権で国民からの指示は当面戻りそうにない。
万が一、政権交代でもできたらレ〇ホウにでも航大を『仕分け→廃止』までトドメを指してもらおう!!
とにかく、今は航大・国交省のご機嫌を損ねない様に静かに耐えるのみだな~
俺らってさぁ~元国営企業でまだ官僚的な部分があるから、陣取り合戦的に天下り的な機関を作るのは得意で、私大も上手くやったなぁと思ったけど、不景気になると採用の配分は難しいな、、ちょっと作り過ぎたか?(笑)まぁいっか、不景気だから採用が無い!で私大の既卒ライセンサーも納得するし、新入生もそんなに減らんやろ!』

JALが私大の取り込みに成功して満足している時にANAはこう考えているかもしれない


『本業はコロナで一回萎んだが、また本業の規模で圧倒すれば採用人数でJALを凌駕できる。
私大にとっては就活実績が命だ。
だから採用人数で圧力をかけられる状態にまで行けば、私大からJAL勢力を追い出してANAカラーの学校へと乗っ取る事など難しい事ではない。
国交省を上手く操ってNCAももうすぐANAの手に落ちる寸前まで来てたしなぁ~、コロナでカーゴが景気良くなってパックリ行けない状態が続いているけど、、
採用してもらう側の私大より、採用する側の航空会社で圧倒的なシェアを握る事が大事だ。
その時が来るまではANA関連私大が多すぎる事は足を引っ張る要因でもあるので慎重にいくぞ。
私大などの小さい就職先を作るより本業を発展させて、そこからの収穫を摘み取る方が大きく刈り取れるはずだ』

結論の前に

現段階の航大・私大の既卒ライセンサーの就活状況を説明する背景はこんな感じかもしれないと思い、考察を書いてみました。
ちょっと学生のみんなが考えるより、深くてドロッとしているかもしれないが結構世の中こんなもんだと思うよ! 

結論

結局景気が良ければ『航大』『私大』『自費P』どれでも上手く行く!

そして景気が悪くなれば、航空会社の管轄官庁が『文部科学省』に軌跡的に変更されない限り、また航大が『お取り潰し』にならない限り、私大の就職率が航大を上回る事は難しいと思う。

そしてこの状態は少なくとも5~10年は続くと思われる。

だから航大生は油断せずに、自らの背負った十字架が何であるかを考えて世の中に対しての責任を感じて運航乗務員としての技量を磨き続けて欲しい。

そして私大生は不景気でも採用がゼロになっているワケではない。与えられた枠にシッカリ入れるだけの対策をして欲しい。

最後に自費Pを目指す人は、本当に厳しい判断を迫られて来ると思います。
自分の人生をより良いモノにする為に行くか、止めるかの判断をすべき瞬間がきっと来ます。
その時に『後悔の無い』という少し軽さも感じる言葉ではなく、自分の直感に従って行動して欲しい。
悩んだ末に直感に従って出した答えがどちらであっても、人生の前半に自分とギリギリまで向き合った経験はその後の人生に生きるはずだと思います。

そしてこの記事は私大か航大にするかを考えている高校生なども読んでいるかと思います。
今後の進路の判断材料の一つにしてください。

この記事に続編ができました~ 

続:なぜ私大の就職率は不景気時に航大より劣ってしまうのか? 【学生の質編】

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