「ANA志望動機の作り方」の記事でANAの「社員のアルバイト可能、兼業範囲拡大」のニュースを元に「案:他の大手企業に先駆けて副業範囲拡大」を志望理由案の一つとして書きましたが、解説にちょっとスペースを使い過ぎるので、こちらに別でまとめました。
そもそも兼業ってダメなの? 企業が勝手に制限できるの?
そもそも会社が就業時間を超えて、従業員の行動を制限する事は認められません。
下の記事にもある様に就業規則に「副業禁止」と何らの但し書きもなく書いてしまう事自体が原則的には違法な状態です。
ですから、特別な場合を除いて、たとえ副業禁止と就業規則に書いてある会社であっても、たとえ副業する時には会社に報告をしてから行う事!などと書いてあっても届け出る必要はありません。 その事によって裁判で負ける事はありません。
特別な場合、⑤事例は記事から抜粋しておきます。
①副業のために遅刻や欠勤が多くなったと判断される場合
※そもそも理由の如何に関わらず、遅刻や欠勤が多くあれば、処分の対象となります
②競合する他社でのアルバイトは会社の利益が損なわれると判断される
※ANAの社員がJALでバイトする場合でも、働く部署、業務内容によります。ほとんどのアルバイト程度の仕事であれば、これに抵触する事は普通考えられません。
③会社固有の技術やノウハウが漏洩されると判断される場合
※これも上に同じです。
④会社の名前や名刺を使って副業を行なう場合
※この辺りは常識ですが、例えばパイロットが所属会社の支給された制服でyoutubeを撮影する等もアウトになる可能性がありますね。
⑤違法な仕事をして会社の品位を落とす惧れがある場合(風俗関連など)
※違法な仕事はそれ自体違法ですから、、、
なぜ今回ANAが兼業範囲を広げたか?
表向きには
- 2018年から政府が推し進めている「働き方改革」に沿った動き
- 副業の拡大で社員の理解を求めるとともに、副業で得た経験やスキルを自社の業務に生かしてもらう狙いがある
等とマスコミでは報じられますが、実際の所はどうなのでしょうか?
実際には
ANAはコロナ前のリスクを採った攻めの経営により、事業希望で一気にJALを大きく引き離していきました。それが今回のコロナによって完全に裏目に出て、巨額赤字を垂れ流す状態になっています。
金融機関から「劣後ローン4000億」の枠を取り付けましたが、これ以上の融資枠の設定は厳しく次は公的資金投入の可能性が高まっています。
その前段階でマスコミと通じて「社員の給与3割カット」などと並んで「副業範囲拡大」等のニュースによって、国民の同情を得て、いざという時に公的資金投入に関して反対の世論が巻き起こらない様に手を打っているのだと考えられます。
その前に10月27日にANA社長の会見が予定されていますが、銀行団からすれば何も止血対策をしていない会社に4000億をむやみに貸し付けたとなると大問題ですから、「所有機の売却」「社員給与のカット」「希望退職の募集」等のリストラ策を確約されなければ、融資を実行する事ができなくなるので、それを明らかにする為の会見となるはずです。
そして「副業範囲拡大」はそもそも憲法に照らして当然の状態に近づけただけで、改めてANAの手柄の様にいう事すら違和感がありますが、フライト回数が月数回に減っている客室乗務員等に積極的に副業をしてもらって、できるだけ多くの人にそちらの副業で本業を上回る成果を出してもらって、会社がこの先数年提示し続けるだろう「早期退職」に少しでも多くの人が手を挙げて欲しい為の会社の方策であるとも考えられます。
JALの社長は客室乗務員に地域活性化に関わる新事業を担わせると言ってますが、CAさんが地方の企業を手伝った所でそれがJALの収入の一翼を担える事業になるとは考えにくく、あれも口減らしというか早期退職へと促すリストラ策と捉えるのが普通だと考えます。
まとめ
以上の様な大人の事情を知った上で、
「ANA志望動機の作り方」の当該部分を読んで欲しいと思います。
面接で
「ANAは世の中の動きに先んじて副業範囲拡大で素晴らしい!」と目を輝かせて話をすると、相手に苦笑される可能性がありますので、少し掘り下げて解説しました。
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